10分ファンタジー

ウサギの道案内/フリー台本・シナリオ

僕が小さな頃の話。

うさぎとおしゃべりしたよ、なんて母に言ったらしい。

あまり記憶は無いのだけれど、うっすら覚えてる事がある。

小さな頃は田舎に住んでたんだ。

周りには畑と林、川しかなくて。

里山って言うのかな?

それこそ、鹿やイノシシ、ウサギなんて珍しくもなかった。

小学校に上がったばかりの頃、母親とケンカして、1人で家を飛び出したんだ。

家の周りに街灯はあるのだけれど、

所々切れかけていて、周りに目印になる建物もないから子供が夜に1人で歩く光景なんて、危なくてどんな大人でも声をかける場所。

そんな場所で、あの夜、僕は1人、家から飛び出したんだ。

夕方6時くらい。間もなく夕焼けが別れを告げるところだった。

深く考えもなく、ただ家から遠ざかりたくて林の方へ走っていった。

案の定、道に迷って、辺りは暗く、静けさの中に鈴虫だけが鳴いていた。

次第に僕は寂しくなった

ずっと地面ばかり見て歩いていたのだけれど

気付けば、僕の目からは涙が溢れていた

ずっと、ごめんなさいと呟いて歩いていた。

家に帰りたいけど、道も分からず、

顔を上げると、ホタルノヒカリが見えた

綺麗だったので、夢中に追いかけていた。

ペチャッ

と音がして、僕は川辺に辿り着いていたことに気付く。

ホタルノヒカリは川の中央付近に集まっていた。

僕は馬鹿だった。

その光を追いかけようとしたんだ。

その時、僕の後ろに気配を感じて、

振り返ると、1匹の白いウサギがこちらを見ていた。

そして、うさぎに近づくと、目から涙を浮かべていた。

ウサギはゆっくりと後ろを向き、歩き出した。

僕はそのウサギに着いていきました。

ウサギは時折振り返り、僕の様子を伺っているようだった。

しばらくして、遠くに光が見えた。

林から出てこれたのだ。

その光に近づくにつれて、僕の家だとはっきり分かった。

家の周りは暖かな黄金の光に包まれており、

再び、僕がウサギを見ると、

その光で、しっかりとウサギを見ることが出来た。

コスプレをした、お母さんだった。

おわり。

筆者:はりね。

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はりね。

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